s i n k i n g s l o w l y

流山　「	お前さあ、どうすんだよ。」
上野　「	・・・・・・。」
流山　「	確かに、俺はお前にお昼ご飯のお使いを頼んだよ。」
上野　「	・・・・・・。」
流山　「	まさかさあ、ハンバーガーと間違えて、 バンクーバーを買い付けてくるなんて思わないじゃん。 それも都市まるごと。」
上野　「	だって・・・。」
流山　「	だってじゃないよ。どうやって買ったんだよ。俺、まったく訳がわかんねーよ！」
上野　「	・・・・・・ごめん。安かったんだ。僕も全く訳がわかんない。。。」
流山　「	なんで買えたんだよ。何をどう買ったんだよ！」
上野　「	よくわかんないけど、どうやら公式議定書らしきものにサインしちゃったんだよ。」
流山　「	どうすんだよ。これってきっと侵略行為になるぞ。国際問題になるぞ。 俺達、場合によったら命を狙われるぞ！当局に連れ去られるぞ！ 当局に連れ去られて拷問されて尋問されて！本当にどうすんだよ！」
上野　「	・・・・・・どうしよう。」
流山　「	それでなくてもアメリカ人の抗議団体がプラカードとか持っていっぱい詰めかけてくるぞ！」
上野　「	来るとしたらカナダ人だよ。」
流山　「	どっちでもいいよ！どうすんだよ。」
上野　「	買っちゃったものは仕方ないよ。なんとか話してわかってもらおうよ。」
流山　「	俺は英語なんか話せないよ！」
上野　「	じゃあここは、ほら、歌とか、言葉を使わない方法で異文化交流しようよ。」
流山　「	どういう方法なんだよ？」
上野　「	例えばさ、『ガンダーラ』の替え歌で『バンクーバ』って唄うの。」
流山　「	無理矢理だな。歌も古いし。どんな歌詞で唄うんだよ。」
上野　「	♪バンクーバ、バンクーバ、ゼイセイ　イトイズ　イン　インディア〜」
流山　「	”バンクーバはインドにあると言われています。”て、滅茶苦茶じゃんかよ！ ワールドワイドに間違えた方向へ行ってるよ！」
上野　「	今日から日本の領土になったのにね。」
流山　「	さらにややこしくすんなよ！お前が買い付けたからだろ！」
上野　「	そんなに怒らないでさあ、もっと前向きになろうよ。」
流山　「	前向きって何だよ！どういうことだよ！」
上野　「	例えばさ、日本の良さをバンクーバーの人に教えて、日本に馴染んでもらおうよ。」
流山　「	日本のどんな良さを教えるんだよ？」
上野　「	皆さんは、ただガイジンだっていうだけで、日本のアホギャルどもにモテモテですよ！とか。」
流山　「	日本人をも敵に回すようなこと言うなよ！」
上野　「	・・・きついなあ。僕にばっか考えさせないでよ。。。」
流山　「	じゃあ、『日本では全米ナンバーワンの映画しかやってません』とか言うのはどうだ。」
上野　「	ネタとしてつまらない上に、相手はカナダ人だって言ってるじゃん。」
流山　「	カナダの映画なんか知らねーんだよ！」
上野　「	そういえば、僕らってバンクーバーはおろか、カナダのこと全然知らないねえ。」
流山　「	近くて遠い国、カナダ。いったいどんな所なんだろう・・・・ 　　　　　　　（　　バ　　タ　　ン　　！　　） とか悠長に言ってる場合じゃなかったよ！アメリカ人が襲って来たよ！ やめろ、やめろ！俺達を何処に連れて行く気だぁぁぁぁ！」
上野　「	カナダ人だってば！！って、は、離してくれよぉぉぉぉぉぉ」
流山　「	てな感じで半年前は大騒ぎしたまま連れてこられたけど、 案外、住んでみるといいところだな。ヴァンクーヴァー。」
上野　「	発音よくなったね。日本にいた頃が懐かしいねえ。。。」
流山　「	世界で二番目に大きな国、カナダの南西部における太平洋を望むこの港湾都市ヴァンクーヴァーで、 41万人もの市民に受け入れて貰えるとはなんとも嬉しいことだねえ。」
上野　「	連邦国家として136年目を迎え、公用語は英語だけでなくフランス語も用いるこの国で、 まさか『バンクーバ』の歌が流行るとは思わなかったねえ。。。」
流山　「	とってつけたようにカナダやヴァンクーヴァーについて詳しくなっちゃったなぁ。俺ら。」
上野　「	タケカワユキヒデに著作権使用料も払わなきゃねえ。。。」
流山　「	で、頼んでおいたチキンラーメン買ってきてくれた？」
上野　「	うん・・・・あ、あれれ！チキンラーメンと間違えて、 今度はコペンハーゲン買って来ちゃったよ！」
流山　「	お前、それは苦しすぎるだろ！！！ スウェーデン人を敵に回すなぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
上野　「	コペンハーゲンはデンマークだよぉぉぉぉぉ！！」