沈殿層からのつぶやき〜
s i n k i n g s l o w l y
 
 
アンドレカンドレの話




■■■

あれです。
そう。
つまり、井上陽水です。
井上陽水なんですよ。
誰がどう見ても。



いや、何がどう陽水かと申しますと。

■■■


たとえば朝、会社へ向かおうとするじゃないですか。
家のドアを閉め鍵を締め、
愛車の自転車、
ルサンチマン3号にまたがるワケですよ。

で、足を上げたところで、ふと。
 

あれ?
俺、何か忘れ物してないかな?


とか思うことあるじゃないですか。
 

指さし確認。
  
右ポッケ
 ダンヒルのキーホルダーが入っています。
 これはパチンコで獲ったものです。
 これは大丈夫。

左ポッケ
 ケータイが入っています。
 少し古いですがまだ使えます。大丈夫。

後ろ右ポッケ
  財布。大丈夫。

後ろ左ポッケ
  ハンカチ。大丈夫。

自転車のカゴ
 バッグが入っています。
 その中にノートパソコンが入っていればOK。これも大丈夫。

背中
 人生を背負っています。
 これに関しては吹けば飛ぶような薄っぺらい物なので、
 別に忘れても良いです。むしろ忘れたいです。大丈夫。



うむ。
エヴリシングイッツオーライ。ヘイカマン!


しかしおかしい。
何も忘れていない。
だのに、
何か忘れているような気がする。
何だろう。
何か忘れているような気がするんですよ。
 
おかしいな。

忘れ物、なんだろう。捜さなきゃ。
そう思うわけですよ。
 
 
 
 
 

ええ。
先に答えを書いてしまいます。



実は忘れ物なんてないんです。
少なくとも、四つのポッケなんぞ、
指さし確認する必要なんざないんです。
重さでなんとなくわかってますから。


極端なことを言えば、
何もいらないんです。
持ち物なんて。


財布なんぞ忘れたって、
会社行って帰るだけだったら、
なんとかなることなんてわかっていますとも。
まあ、自転車通勤だからですけれど。


キーホルダーなんてなくたって大丈夫ですよ。
鍵開けっ放しで会社へ行けばいいのです。
とっちらかった我が城なんて、
どんなに発掘したって金目のものなんか出てきません。


ケータイも大丈夫。
誰からもかかってきませんから。
友達いないしさ。


ハンカチなくても大丈夫。
ハンカチがなければケーキを食べればいいじゃない。



 
 
 
 




本当は、
忘れ物なんてないんです。

本当は、
何か忘れ物をしている自分でありたいのです。

今ここにいる自分は、
何か忘れ物をしてるだけで、

本当の自分は、その忘れ物さえしていなければ、
きっともっと素晴らしい人間であるに違いないのです。

パーフェクトボディの自分て奴は、、
とにかく素晴らしく完璧な人間なのです。



でも、忘れ物をしてるおかげで、
今は完璧な自分ではないのです。

完璧でないのは、自分が悪いからではなくて、
たまたま忘れ物をしているから。
それだけなんです。


だから、忘れ物さえしていれば、
僕は、失敗したって情けなくたって大丈夫なんです。

悪いのは僕じゃない。
忘れ物してるから。

忘れ物がない時の僕はすごいんだ。
でも、今日は忘れ物してるから。

だから、今日は本気出さなくても大丈夫。
 

そう。
忘れ物を捜すフリさえしていれば、僕は安心なんです。
 



 
 


井上陽水が
そんな僕に聴くんです。
 
 


「捜し物はなんですか?」
うるさいよ。
 


「見つけにくい物ですか?」
見つけにくいよ。黙っていてくれよ。
 


「カバンの中もつくえの中も
  探したけれど見つからないのに?」

本当は忘れてない。
どこを捜したってないものはない。
そんなこたわかってるよ。
 


「まだまだ探す気ですか?」
黙っていてくれよ。捜しているフリをしてれば俺は安心なんだよ。
 


「それより僕と踊りませんか?」

うるさ・・・
 



「夢の中へ、夢の中へ、
  行ってみたいと思いませんか?」

・・・
 


「ウウッウー」
・・・ウウッウー
 


「ウウッウー」
・・・ウウッウー
 


「ウウッウー」
ウウッウー・・・
 




  あ

  

 
 
 

 
■(以下ギターソロ) ■
 


帰る

 

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