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番 外 編

ROAD to FRANCE
〜アメリカ横断お笑いウルトラクイズ漂流記〜


最終章  エピローグ





 
僕の闘いが、終わった。





罰ゲームでは昆虫採集をしたり、



タクシーに乗ったり、



人身売買で売り飛ばされたりした。



 
そんなちっぽけな事件を経ながら、
こども銀行頭取さん、
GET-Cさん、いちごスパさんと一緒に、
僕は日本に凱旋帰国と洒落込んだ。



 
皆が放心で。
とても疲れていて、
脳が腐っていて、
強烈な悪臭で。





 
そして、
僕らのいなくなったウルトラクイズご一行は、
その後、アメリカ各地を転々と廻り、
ニューヨークにて決勝を迎えていた。



 
ギャンブルに出て失敗した今中さん、
小心者で失敗したフォーク和尚さん。
マイクを奪われたテクハネさん。
最後まで無言だった口几さん。


 
色々な人が、
僕らの後にも、
色々な夢を散らせたらしい。




散った人達の夢を食べ続けたのは、
本命・下半身だけ大谷さん、
穴馬・プロサルファー・ゴルさんの二人。

 
彼らはこの後、壮絶な死闘を
繰り広げることになるのであった。

 



 
 


敗者となった僕は、
千葉県の大きな灰色の空の下で、
遠く
N.Y.の熱気の陽炎を向こうに眺め、
ただぼんやりと色々なことを反芻していた。

 
 
僕ってば、ほら。

ただフランスに憧れてる人だったのか、
フランスに行けると勘違いしている人だったのか、
フランスから来た変人だったのか。

 
 


今更ではあるが、
自分のキャラ設定がよくわからない。

ボケや熱気やドラマとともに、
そこいらへんまでが右往左往していたのだ。

 
 



 
決勝の地では、
プロサルファー・ゴルさんが、
最後の一撃で
下半身だけ大谷さんを、
下半身だけリングに沈めたらしい。





そんな風のたよりが、
僕のもとに届いていた。


ゴルさん、おめでとう。
大谷さん、お疲れさま。

 
 







そして、
全てが終わったらしい。

大なり小なりの虚脱感を、
250人に投げつけた和泉野由
僕も
250分の1人の人間として、
確かに楽しい時を過ごさせてもらった。

 


 
あれは
10年以上前、水曜日だったかな。
TVの中で偶然に見かけた人がいる。

折り目の着いたスーツ姿で、
無鉄砲に、泥んこ○×ボードに向かって、
奇声を発しながら突っ込んでいった男だ。

そんな背広の伊澤さんが、
僕にとってのヒーローだった。

 
大きく「×」という形に刈り込まれた畑。
決勝の地・パリ上空でそれを見て、
無惨に引き返すことを余儀なくされた伊澤さん。
会社もクビになったらしい。



 
彼の虚脱感を、
僕はテレビの前で受け止めた。
いつか、僕も、
18になったら、
ウルトラクイズに出て
彼のカタキをとってやろうと思っていた。

 
 


 
そして、
18になった僕の前には、
ウルトラクイズは存在していなかった。

よくわからんが、
大人の都合って奴で、
廃止になったらしい。


 



 


 
だから、
聞き慣れた軽快な
BGMと共に、
「裏東京ドームに集まれ!」と声を挙げた、
福留気取りの兄ちゃんの前に、
僕は喜んでダッシュした。



 
こいつが、とんでもない奴だった。


ボケを考えさせられる下々の人間を見て、
この男は、何かとても楽しそうにしてやがる。

これは、
「こいつらをどうやって困らせてやろうか」
そんな目だ。





 
チェックポイントを通過した時は、
皆とバンザイをしながら、
通過できなかった人間を、
「ああはなりたくないね」という目で見ていた。


無論、僕らも同じ目で敗者を見させられた。
僕らも喜んで、そういう目を敗者へ送ったさ。

 
結果、僕が負けた時には
僕がそういう目で皆に見られた。
そういう目で見られたさ。

 


 
 
鬼だ。
司会者も鬼なら、企画も鬼だ。
参加者もどんどん鬼になってくる。




 
「これのどこがクイズなんだよ!」

そんなこちらのクエスチョンなど、
どこかで忘れてしまうほど。



 
鬼が鬼を呼んで鬼しぐれ。
何度も鬼が鬼の鬼で鬼な鬼を鬼か鬼と呼んで。
なんだかわからんが、
とにかく、それだけ辛かった。

 
 





あれから、少しの時が過ぎた。



 
仕事中に目をつぶれば、
そんな鬼
Daysの途轍もない楽しさが、
すぐそこに広がっているような気がしてくる。







 
そんな幻影を振り払い、
僕は慌てて視線の先を現実世界に揺り戻す。

 


 
しかし、
運転中に目をつぶれば、
鬼司会者・和泉はその憎ったらしい笑顔で、


「いつまで手記なんて書いて
過去のことウジウジ言ってやがるんだよ。」


とか言ってくる。
















続けざまに

「どうよ? こんな所で引きこもってないで、
もう一度、行ってみないか!?」

そんな悪魔の言葉を、
語りかけてきているような気さえする。





 
 
 
やれやれ。
今度は幻聴か。













 
「な?もう一度、行こうぜ!
今度は、もっと遠くまで、行こうぜ!
勿論、和泉に着いて来れたらの話だけどな!」

 









その幻聴は、
どんどん大きくなってくる。










 
やれやれだ。
僕の意識の奥深くで、
僕自身が、もう一度、
鬼になりたがっているのに違いない。


 










 
 
そう。
幻聴と耳鳴りの奥深く。
そこにイロトリドリノセカイの扉があって。



 
力を込めてノックをすれば、
きっとまたあの夢のような鬼の世界が、
大きな口を開けて、
僕らを待っているような気がするんだ。







 
 
僕の手記は、
ここで終わりを迎えるけれど、

きっと誰かが記すべく世界が、
またここから広がっていく。









 
扉の向こうに拓ける世界。









それが、
幻聴クエスチョンに対しての、
奴による揺るぎないアンサー。
この回答に、多分、間違いは、ない。

 













ここまで
ヘタな文章につきあってくれてありがとう。






そして、
僕らの走るべく場所は・・・









イロトリドリノセカイ



 









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